ホワイトサンズの幻想的な夜明けの頃、不覚にもテントで熟睡。アラーム聞こえなかったな。
実は昨日 車にカメラの三脚を忘れてしまった。気づいたのはテントを設営しているときで、陽の落ちた砂漠を往復4kmも歩けるわけもなく...。
星空を撮りたくて、折りたたみチェアにミニテーブルを乗せて三脚の代用とていたが、その時ふと思った。
撮るのはもういいや。この椅子に深く腰掛け満天の星空をただ眺める方が、いまの、いや10年か20年後の自分にとって正しいことなのではないか...。星と砂の真ん中で、ふと思えてよかった。
4日目「VLA と ABQ」 ~アメリカ南西部 3475 マイル ロードトリップ の記し~
サイト3 撤収
サイト#1から#10はループしたトレイル上に配置されている。昨日は反時計回りに#1、#2 と歩いてきた。
ビジターセンターで貰ったトレイルマップを見ると#3、#4、#5サイトが最も遠いエリア。ならば帰りも反時計回りのままでループトレイルを1周しよう。
すでに#4から#10のすべてが撤収済みだった。
夜明け前に片付けてアルカリフラットに向かったんだろうな。こっちもそのつもりだったけど。
少々出遅れたがアルカリフラットに移動。
トレイルの前に腹ごしらえ。コヨーテから守り抜いたチキンでサンドイッチを作った。
食べ物は残さない主義だ。ローストチキンは結局ひとりで食べきった。物価が上がっているアメリカで一羽丸ごと6ドルは有難い。
〔参考/丸鶏ローストチキンの税別価格/2017.11〕
バーバンク,CAのターゲット $7.99 ラスクルーセス,NMのウォルマート $5.99 ページ,AZのセイフウェイ $4.99
ひとりメシ
ひとりトレイル Alkali Flat Trail
一時的なふたりトレイル Alkali Flat Trail
白い砂と蒼い空のほかは何も無い
この美しいアルカリフラットは全長5マイルのループトレイルになっている。所要時間は3時間。
途中日除けは無く、もちろん水飲み場もない。夏は40℃にもなる。
2015年にも残念な事故があった。
トレイルルートを外れたり、十分な水を持たないで入ることは即命に関わるので、訪れる際は くれぐれもご注意いただきたい。
命綱の赤いポール Alkali Flat Trail
帰りにビジターセンターのギフトショップで「White Sands」のベタなマグネットをひとつ買った。いくつになっても このマグネットが記憶のスイッチになって 昨日の星空をよみがえらせてくれる様に。
めちゃくちゃ遠かったが、ここまで来て良かった。最高の孤独を味わえた。
アラモゴードで3度目の給油。空気圧のチェックランプが点いていたのでタイヤにエアーを入れようと思ったが、この店にはその手のものが無いらしい。しばらくは大丈夫そうだが。
US70からUS54で北上、カリゾゾでUS380に乗り換え西へ。
車で走っていると分からないが、カリゾゾの街から3、4マイル西にバレー・オブ・ファイヤーズ(ネバダとは違う)という真っ黒の帯が横たわっている。
5,000年前に溶岩が噴出してできたらしい。衛星写真で見るとホワイトサンズの白との対比が印象的だ。
*別ウインドウで GoogleEarth を開く
US380 Valley of Fires, NM
オスクラ山脈の北側を過ぎると草原の様な砂漠が広がってきた。
ここから約12マイル南に、google評価4.6の Trinity Site がある。開放日以外立ち入りはできないが、日本人で訪れた方がいるのか知りたくなった。
US380 この風景の向こうにトリニティサイトがある
I-25 と合流するサンアントニオまでは同じ風景が続く。I-25Nアルバカーキ方面へ、ひとつ目の街でUS60にチェンジ。
US60 50マイル先に用がある
映画「Contact」でジョディ・フォスター演じるエリーが、あの電波信号をキャッチした「VLA」。そこへ行く。
ウィキペディアの説明など貼り付けないが、VLAの直訳だけ記す。
「とても大きい配列」 最大直径42km。標高2100mの大平原に整然と配置されている。
*別ウインドウで GoogleEarth を開く
Very Large Array →
この列が120度等配で3本配置されている
それぞれの列はレールが敷かれていて、1軸方向に移動できる
閉館まで1時間半あるが、ほかに見学者はいない。
ピンクの空に美しい放物カーブ、その配列に写欲が湧く。今回、2台のボディと3本のレンズを持って来ている。
・24-120mm/F4
・200-500mm/F5.6
・35mm/F1.4
120mmから200mmまで穴になるが、200mm以上に重点を置いた選択だ。
実際は300mmあれば、この旅で撮りたいものは撮れると判断できた。
砂漠でのマウントチェンジはあまりしたくないので、ボディは2台必要だが、望遠は300mmまでで良いな。
70-300mm/F4.5-5.6 が画角と取り回しの良さで、こんな旅には24-120mmとの組合せでベストチョイスだと思う。
80-200mm/F2.8が売れたら考えてみよう。
ところで、今回はすべての日程が ひとり旅という訳ではない。
今年のはじめにRoute66の写真を額装で複数点ご購入いただいた方(以降T氏とする)がいるが、一緒に行けたらいいですね。という感じだった。
宿泊費、レンタカー代、ガソリン代などを割り勘にできるコスト的メリットはあるが、ひとりで周って写真を撮りたい気持ちには勝らない。
こちらの最大のメリットは半分運転してもらえることだ。前回ひとりで4000km走って、本当に大変だったから。
一方、T氏の最大のメリットは、経験同行者と行くことだった。これは賢明だ。
お互いの利害を詳細に擦り合わせ、両者納得の上で半年前に計画をスタートさせた。
そのT氏をこれから迎えに行く。
2時間ほど前、ダラス・フォートワース空港に着いたとメールがあった。国内線を乗り継いでアルバカーキ・サンポート空港に19:55 到着の予定だ。
待ち合せは空港駐車場に20:30。あと2時間10分後だ、距離125マイル。
標高2130m薄暮のサンアグスティン平原を後にして一路アルバカーキへ。
途中、カミさんから電話が入る。
曰く、「あら、繋がったわ」
海外SIMの電波が悪く、ウィルコックスから連絡していなかったので一応心配してくれたのだろう。
「今日何時に帰るの? 牛乳無くなったから買ってきてくれる?」といういつもの調子ではあったが。
ひとり旅の調子は狂うが、張り詰めていたものが解かれたのは確かだ。
よく考えてみれば、こんな我儘亭主を旅に出させてくれる、大した人なんだと思う。本人には言えないが感謝している。
秋山晶のコピーを借りれば
「6000マイル離れて、電話で聴くワイフの声は若かった」
となるわけだが、いまは理想より現実に何倍もの価値がある。
途中車線規制もあり少し遅れてアルバカーキ空港に。
T氏とも無事合流し、ルート66沿いのパンダエクスプレスで腹を満たした。
今晩は街はずれにあるルート66沿いのモーテルを予約してある。
ここではふたつほどネタになる事件があったが、文章にするには適切ではないかもしれないので割愛させていただく。
一杯呑ませてくれれば、喜んでお話しするが...
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